4条1項各号の要件

1号
国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標は登録を受けることができません。国家の尊厳を傷つけ、また一私人に独占させることは妥当ではないからです。例えば、国旗や菊花紋章を商標の一部に含んでいるような場合であっても、一部に顕著に表されているような場合には本号の適用により登録を受けることができません。

2号
パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国、商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章であって、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標は登録を受けることができません。それが表示するものの尊厳を傷つけ、また一私人に独占させることは妥当ではないからです。ここでいうパリ条約の同盟国には日本国は含まれません。

3号
国際連合その他の国際機関を表示する標章であって、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標は登録を受けることができません。それが表示するものの尊厳を傷つけ、また一私人に独占させることは妥当ではないからです。※ 次に掲げるものを除きます。
イ 自己の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似するものであつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの
ロ 国際機関の略称を表示する標章と同一又は類似の標章からなる商標であつて、その国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれがない商品又は役務について使用するもの

4号
赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律1条の標章若しくは名称、又は武力攻撃事態等における国民の保護のための処置に関する法律158条1項の特殊標章と同一又は類似の商標については登録を受けることができません。このような法律で禁止しているものに商標権を設定することは妥当ではなく、同時に赤十字社等の権威を傷つけるおそれがあるからです。

5号
日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であって、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用するものは登録を受けることができません。

6号
国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標は登録を受けることができません。ただしそのもの自身が出願した場合には、登録が認められます(4条2項)。本号の立法趣旨が、その団体の権威の尊重にあることから、団体自身が使用するのであれば一向に差支えないばかりか、他人の使用を排除する必要があるからです。

7号
公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は登録を受けることができません。例えば、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的・他人に不快な印象を与えるもの(歴史的背景、社会的影響等)、又は商標の構成自体がそうでなくとも指定商品・役務に使用することが社会公共の利益に反し、又は社会一般の道徳観念に反するような場合には本号の適用により登録を受けることができません。その他にも「〇〇士」など、国家資格などと紛らわしいものも本号に該当します。

8号
他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標は登録を受けることができません。ただし、その他人の承諾を得ている場合には登録が認められます。

9号
政府若しくは地方公共団体が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であって特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標は登録を受けることができません。ただし、その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をする場合は登録が認められます。

10号
他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するものは登録を受けることができません。需要者の間に広く認識されているとは、全国的に認識されている商標のみならず、ある一地方で広く認識されている商標も含まれます。

11号
当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するものは登録を受けることができません。

12号
他人の登録防護標章と同一の商標であって、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用するものは登録を受けることができません。

14号
種苗法第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするものは登録を受けることができません。

15号
他人の業務に係る商品又は役務と混合を生ずるおそれがある商標(10号から14号までに掲げるものを除く。)は登録を受けることができません。他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるかどうかの判断は、

@ その他人の標章の周知度(必ずしも全国的であることを要しません)。
A その他人の標章が創造標章であるかどうか。
B その他人の標章がハウスマークであるかどうか。
C 企業における多角経営の可能性があるかどうか。
D 商品間、役務間、商品又は役務間の関連性。

を総合的に考慮して判断します。

16号
商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標は登録を受けることができません。例えば指定商品「ジャム」について商標「いちごジャム」は、イチゴ味以外のジャムに商標が使用された場合に、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので本号の規定により登録が認められません。この場合、指定商品を「イチゴ味のジャム」と補正する必要があります。

17号
日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするものは登録を受けることができません。

18号
商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標は登録を受けることができません。

19号
他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用されるものは登録を受けることができません。不正の目的とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的です。以下の場合には、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認して取り扱われます。

@ 一以上の外国において周知な商標と同一又は極めて類似するものであること。
A 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。
B その周知な商標が造語よりなるものであるか、構成上顕著な特徴を有するものであること。